30人が本棚に入れています
本棚に追加
『 海 』を何度、奏でただろうか。俺たちは汗を撒き散らし歌いきった。
余韻に浸っていると、その空気を打ち破るかの如く扉が激しく開いた。
「ちょっと!時間オーバーですよ!時間守ってくださいよ!!」
入ってきたのは、美声派グループのヒメコオロギたちだった。
「あ、すみません……」
俺たちは、そそくさと楽器と機材を片付け、ヒメコオロギたちの横を腰を低くして通り、スタジオを後にした。
「はぁ……。飲みにでも行くか」
「そうだな」
暗闇の道を通って、行きつけの居酒屋へと向かう。
最初のコメントを投稿しよう!