8人が本棚に入れています
本棚に追加
あとロッカールームで水着着替えるシーンも。……体育の着替えと違って、水着は全部脱ぐんだよね、パンツ履いたまま泳ぐわけじゃないから。ロッカーの中から私を見てるような構図で、まあ真正面からもろにいろいろ見えちゃったんだけど。自分の体をまじまじと見ると、まあほんと自信なくすし自分残念だなーって思う。
結構部活頑張ってるつもりなのに腹筋割れるどころか、まだお腹の肉落ちないんだよね。まあ、水泳部入ってまだ数か月だし、夜食のオヤツやめられてないからアレなんだけど。お腹がまだまだ段々になってるし、オヘソ完全に埋まってるし、あっちこっち見えないところの毛とかもうちょっと……い、いや!今のはナシ!ナシ!さすがに自分で言っててキモかったわ!!
そういうのを見ながら、私はぼんやり思ったのね。あ、これ私の記憶ってやつなんだろうなって。だって出て来るの私ばっかりなんだもん。なんていうかこの真っ黒な穴は、堕ちた人間の記憶を走馬灯みたいに見る装置……みたいなものなんだろうなって思ったの。私は私の中にある私の記憶を見せられてる。何故か、そういうものを作れる奴がいたんだなーと思って、妙に感心しちゃって。
長い長い落下が終わって、真っ黒な底についた時。そこは、なんだかねちゃねちゃ沼みたいな場所だったの。浅い沼みたいな場所なのは感触でわかるんだけど、見えないからどんな色の沼なのかもわからない。
ただ空気が生温かくて、生臭いみたいな変な匂いがしてた。誰かがじっと私を見てる、みたいな。
『だれ?だれかいんの?』
私はそう呼びかけてみた。すると、誰かが私の名前を呼んだんだよ。香奈枝、って。
知ってる人の声だった。私はその相手の名前を呼んで――気づいたら朝で、自分のパソコンの前で寝落ちしてる格好だったわけです。
え、誰の声だったのかって?それがさー、確かに知ってる声だと思ったのに、思い出せないんだよ。私が名前呼ぶことのできる誰かだったのは間違いないんだけどなー。
まあ、くだんない夢だよきっと。
だってスリープになってたパソコン起こして、自分のツニッター見直したけどさあ。私の呟きに、そんなリプなんかついてなかったんだもん。もしまだアドレスが残ってたら、もっかい確認してやろうと思ってたのに。
もし、あれが夢じゃなかったんなら、なんだったんだろうねーって思う。
自分の記憶を辿る、真っ暗な謎の穴。愛美も、興味ない?
最初のコメントを投稿しよう!