悪の警官

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悪の警官

「ハッ!」突然目を覚ました渡部は自分がどういう状況に陥っているのかしばらくの間頭の中は真っ白になっていた、薄暗い地下室の中で渡部の両腕はチェーンのような物で巻き付けられており、チェーンの端には壁で固定されている、そして足は立ったままの状態で、まるでキリシタンの様に渡部は身動きが出来ないようにされていた、すると渡部は少しづつここに連れてこられる前の記憶が戻ってきた、「クソ!何で俺がこんな所にいるんや!」渡部は無我夢中で腕を動かそうとするが、ガチガチ固定されたロックにより渡部は力尽きた、「確か今日はずっと店にいて、、、、、!」すると渡部は突然叫びだした、「グゥゥゥゥワァァァァー!」渡部はようやく何が起きたか思い出した、すると上に繋がる階段から誰かが降りてくる音が聞こえてきた、ゆっくりと階段を下る音に渡部は耳を澄ました、そしてその音はやがて止まり渡部の目の前にその人物は現れた、「お前が、お前がここに連れてきたんかゴラあぁぁぁ!」 渡部はその人物に怒りを上げた、次の瞬間、地下室にでかい銃声が鳴り響いた、おもわず渡部は腰を抜かし足が縺れてしまった、「あんた何者だ!」するとその人物は天井に向け弾を放った拳銃を下におろし渡部に応えた、「北中央署の眞鍋だ!」 「北中央署?何馬鹿なこといってる、こんな事する人間警察なわけないやろ!」そう言い放つと眞鍋はニヤリと笑みを見せた、「お前に聞きたいことがあってな、まぁじっくりとお話ししようじゃねぇか」そう言うと眞鍋は床に座り込む渡部の側でしゃがみこんだ、渡部の表情は引きずった笑みを浮かべながら焦りを隠せなかった、額には妙な汗が流れてきた、「お前は関西ヤクザ白岩組の組長、渡部だな、お前達が手にしている関武連合の拠点はどこにある?」眞鍋は淡々と話を始め渡部に問いかけた、しかし渡部は眞鍋の顔を目線から反らし何も喋らなかった、「フー、仕方ない」すると眞鍋は立ち上がり先程手にしていた拳銃を取り出した、「お、おい!何するきや!」渡部は拳銃を見ると突然騒ぎ始めた、「何も喋らないなら、お前は用済みだ」 「待て、頼む待ってくれ、頼む、」渡部は泣きながら必死に止めてくれと眞鍋に何度も訴えた、やがて眞鍋の持つ拳銃は渡部の頭部へと銃口を突きつけられた、「あんた殺人罪で死刑になってもええんか!」渡部は焦りを隠すように強気に眞鍋を睨んだ、「構わない」眞鍋の表情は変わることなく拳銃の弾を込めた、渡部は等々とてつもない恐怖を感じ必死に首を振って泣き叫んだ、顔中には大量の汗と涙が吹き出し眞鍋の服にもその汗が飛び散った、そして次の瞬間眞鍋は拳銃の引き金を引いた。 死を覚悟していた渡部はそっと目を開けると、椅子に座り煙草を吹かした眞鍋の姿が見えた、「ここは地獄か?」すると渡部の声で気づいた眞鍋は煙草を灰皿に捨て、渡部の方へと近寄った、「残念ながらまだここは地獄じゃない、だが次に目を醒ます時は本当かも知れないな、拠点場所を教えろ」眞鍋はそう言い放つと鋭い視線を渡部に向けた、渡部は疲れきり痩せ細った様になっている、「わかりました、話しますその代わり俺は無事に解放されますよね?」渡部は恐る恐る眞鍋に問いかけた、じっと見つめていると眞鍋は突然笑みを見せた、「あぁ、ちゃんと教えてくれたら君は無事だ」渡部は深く息を呑んだ。 翌日の早朝、市川は深夜からの突然の眞鍋の電話で北中央署近くの高架下で待つようにと伝えられ暫くその場でやり過ごしていた、市川は突然消えた事への眞鍋に少し怒りを感じつつもじっと待った、すると奥の信号で止まる車の運転席から眞鍋の姿が見えた、市川はすぐに気づくと道路側へと車が来るうちに小走りで向かった、「悪かったな、市川」車を止めると窓を開いてニヤリと眞鍋は笑いながら話しかけてきた、「眞鍋さん、今まで一体どこにいたんですか、県警も貴方を探し回っていましたよ」 「それは随分と不味かったな」 市川は怒りを隠しながらも話続けた、「眞鍋さんすぐに署に戻って報告を」 「悪いが、時間がなくてなとりあえず、乗れ」市川は頭が混乱しながらも取りあえず車に乗り込んだ、すると後部座席に寝たきりの渡部の姿を見つけ、思わず驚いた、「こいつ白岩組の渡部じゃないですか!どうして眞鍋さんの車で寝てるんですか?!」 「それは後で話す、それより今は時間がない」そう言うと眞鍋は車を走らせ反対車線へと乗り換え、制限速度ギリギリまでにスピードを上げ走り出した、「渡部はこのままでいいんですか?」 車内はタイヤの音で聞こえにくくなりながら運転するなか、市川はひたすらこれまでに何があったか疑問を幾つか投げ掛けた、「例の襲撃事件の元凶が判明した」 「え?」すると眞鍋の表情は堅くなり、じっと前を見つめ話続けた、「あの日神田が亡くなったのは単なる事故死ではなく意図的な暗殺だった」 「そんな、ですが何故暗殺なんか、一体誰が、」すると市川はふと病室の眞鍋のベッドに隠れていた写真を思い出した、「恐らく今は関東最大暴力団組織のトップに立ち尽くす獅子神という人物が容疑者だ、襲撃しているのは裏切られたことにより怒りをぶつけた神田の部下達だ」市川は眞鍋の話す内容にこれまでの経緯を合わせ驚愕した、すると車は突然信号に掴まり慌てて止まった、そして眞鍋は市川の方へと振り向くと一言告げた、「これから本拠地へと潜入する」 「え?マジですか、」市川は暫く困惑した顔を見せていると信号は青へと変わり再び車は走り出した。 9時40分、関武連合の本拠地の屋敷では朝早くから幹部達が集められていた、それは昨日の渡部が眞鍋に連れ去られた事件で情報が本部にも届いていたのだ、大広間の和室の前で座り込む東條はサングラスを掛けながら煙草を吹かしていた、直接は見えないが東條の眼鏡の奥では睨み付けていると誰しもが感づいていた、「兄貴失礼します、先程連絡がありまして、」 「早く獅子神を呼び出せ、ゴラァぁぁぁ!」 「すいません、もう暫くで到着すると」その場は張り詰めた空気へとなり幹部の何人かは東條に怯えていた、「こがな一大事の時に、落ち着けられるかボケェぇ!」ひたすら側近の組員に東條は罵声を浴び続けた、「おい、会長はまだこられないのか?」 「全くどないすんや」幹部達は何とかその場をやり過ごそうと東條の気を引きながら会話を交わしていると、突然大広間の入り口からボディガードの組員が入ってきた、「おぉ、やっと着たか獅子?」東條は苦笑しながら問いかけると組員の顔が明らかに可笑しいと眉をひそめた、すると入り口から渡部が入ってきた、「お、おい!渡部!全くどこに行ってたんだ」次の瞬間東條は突然立ち上がった、渡部の後ろからは眞鍋と市川の刑事二人が入ってきたのだ、「誰や!お前ら!」 慌てて大広間に居座っていた組員は立ち上がり二人を警戒した、「北中央署の眞鍋だ、獅子神はどこにいる?」眞鍋は臆する事なく前へと乗り出した、「警察が何のようや?わしらは何にも悪いことはしてませんよ」すると眞鍋は不適に笑いだした、「ヤクザが悪いことしてないなら自分達はとっくに必要がなくなってるは」 東條は加えていた煙草を吐き捨てゆっくりとサングラスをずらした、「何故警察がここに来た、そう言えばあんた知っとるぞ、よく神田の側でこそこそかくれておったなぁーー!」すると東條はジャケットのポケットに隠してあった銃を取り出し眞鍋に向けて一発打ち込んだ、「バーン!」弾はギリギリ眞鍋の頬へとずれた、回りの人達は突然の事に頭を抱えた「畜生!」すると眞鍋は意を決したかのように渡部の膝裏を蹴り、膝を着くと眞鍋の持っている拳銃をすぐさま渡部の後頭部へと突きつけた、「眞鍋さん一体なにやってるんですか!」市川は眞鍋の行為を押さえつけようと訴えるが、「いいか!東條、後10秒で獅子神がどこにいるか応えないとこいつの頭は吹き飛ぶぞ」 「な、警察がそんなことして許されると思ってるのか!」 すると拳銃の弾を一発天井に打ち付けてた、「バーーン!」 「眞鍋さん!」東條は怯えた渡部の姿を見て同様を隠せなかった、「貴様!」東條は鋭い眼光で眞鍋を睨み付けた、眞鍋の額に一つ汗が流れ込んだ、眞鍋の姿はまるで今まさに警察の檻から逃げ出した狂犬そのものだった、「1、2、3、」眞鍋はゆっくりとカウントを数えだした、「ブッ殺してやる、糞刑事が!」 東條はもう一度銃を眞鍋の方に向けた、「くたばれ」次の瞬間東條は引き金を引いた、ふと思わず目を閉じた市川は目を開けると外からカチカチと鳴る音だけが聞こえてきた、「クソ、クソ、クソー!」東條が引いた銃にはもう弾が込められていなかった、「4、5、6、」眞鍋は再び数えだしそして弾を込めだした、渡部は泣きじゃくり東條に居場所を聞き出すよう必死に訴えた、「早く応えろー兄貴!」 「まっ、待ってくれ、わしらも知らん、わしらも今どこにいるかは知らないんや!」 東條は必死に眞鍋に応えたがしかし、「7、8、」 「本当にわしらは知らないんだぁぁぁ!」 「9、」 眞鍋はじっと前を見つめた、「やめろーーーーーー!」 市川は思わず眞鍋の方へととびだした、次の瞬間眞鍋は拳銃を振り上げ前の襖へと発砲した、「バーーン!」デカイ銃声音が部屋中に鳴り響いた、気づくと眞鍋は肩を撃たれて出血しだしていた、「グッ!グァァァァ!」 すぐに市川は倒れた眞鍋の方へと駆け寄り出血する肩を抑えた、「大丈夫ですか!眞鍋さん!しっかりしてください!」眞鍋は痛みに耐えながら何とか立ち上がろうと起き上がった、「今、あの襖から獅子神の姿が見えた、あいつが逃げるまえに先に追ってくれ、市川!」 「ですがこの傷は」 「いいから早く!」眞鍋強く市川の肩を叩いた、「わかりました、このままくたばんないでくださいよ」そう言うと市川は走り出し屋敷から出て獅子神を追いかけた、眞鍋は辺りを見ると気絶した状態の渡部に駆け寄る東條の姿が見えた、「あんた、わしらと同じクズやな」東條はそう眞鍋に呟いた、眞鍋は肩を抑えながら何とか立ち上がった「まさかこんなに痛いとは、思っていなかった、俺は今まで出会ってきた人間誰しも皆悪人だった、まさに全員悪人だな」そう話すと笑いながら大広間から出ていった。 その頃造船所では、「松岡さん、武器がたった今届きました」松岡は深くソファに座りながらじっと机に置かれた拳銃を手に取り見つめた、「約束は後1日だったが、俺達はもう十分待った」すると松岡は回りに立ち上がる組員やマフィア達を見ると、突然立ち上がった、「襲撃の準備だ。」
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