激突

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激突

夜の9時30分、東京は美しい都市の輝きを見せるなか、別の場所では、静かだった街の道路は突如カーチェイスとなり銃撃戦化になっていた、「オラァァァ!」松岡は運転を横の舎弟に任せ、運転席の窓から体を乗りだし拳銃を手に何度も眞鍋達の乗る車両に向け撃ち込んできた、何度も何度も銃声とタイヤが擦れる音が鳴り響いている、すると松岡の撃つ弾が運転席の窓へと直撃した、一気に窓が開いてしまった、「危ないだろ💢、あのヤクザ必ず銃刀法違反で逮捕してやる」眞鍋は後から追ってくる松岡達に怯えながらも必死に逃亡し続けている、そんな中助手席の底に隠れる壮真はただ叫ぶか頭を守るかの使えない物となってしまった、「おい!壮真しっかりしろ、聞いてんのか!」 壮真はただ耳を塞ぐだけで応えなかった、すると又あちこちの窓ガラスが弾に当たっては割れていった、このままでは確実にまずいと判断した眞鍋は突如ルートを変え高速道路へと車を走り出した、「なるべく人がいないところへ」 そう願いながら走っていると前から2台かの車が見えてきた、 「おい!お前らあの前のタイヤを狙い撃て」松岡がそう言うと一斉に標的はタイヤへと変わった、「眞鍋さん!又撃ってきます!」その瞬間激しい銃撃音が車の後から鳴り響いた、ヤクザ達が放った弾はほとんど外しているが僅かに後部のタイヤは命中しパンクした、「おい!もっと撃て、破れ!」 後部の二つのタイヤはパンクを余儀なくされスピードが下がっていく、そんな中とうとう前を走る2台の車へと近付いた、すぐさま眞鍋はボロボロの窓を破壊し横を走る車の運転手に必死に呼び掛けた、「すぐに逃げろ!」何度もクラクションを押しているとようやく運転手はきずきどういう状況なのか理解した、「あの人たちなんなんですか!」運転手は状況にきずくとパニックになってしまった、そんな時「伏せろ!」又松岡達は撃ってきた、すると今度は追っている松岡達の車の横にいた2台の黒い車が眞鍋達の乗る車は挟み込むように接近してきた、タイヤはパンクしていてスピードを上げられない、覚悟を決めポケットに閉まってある拳銃を取り出した、すると追ってくる2台の車は先頭を走る車両に向けて衝突しに行った、「ガシャン!」すぐに眞鍋はさっきの運転手を見ると必死にハンドルを握りしめている姿が見えた、そして再び2台の車は先頭車両に突撃するかのように衝突した、慌てて横に並ぶ車一台はスピードを上げ逃げようとするが、それを許さないかのように後からもうスピードで突撃してきた、その瞬間後から衝突しに行った松岡の舎弟が乗る車は衝撃によって車は横転した、慌てて眞鍋は避けようとするが間に合わず、道路に逆から落ちていった車にぶつかった、衝撃は物凄いものだった、「は、は、は、!」 眞鍋達の車が前の横転する車に遮られ車が止まると壮真は後ろを振り返り叫んだ、「ぶつかるーーーーーー!」壮真の目線にはこちらにもうスピードで突撃してくるハンドルを握りしめた松岡の顔をが見えた、慌てて壮真と眞鍋は衝撃に備えた、そしてその瞬間衝突すると車内に思いっきり二人は体を吹っ飛ばされ眞鍋は車から飛び出した、体は身動きがとれずそのまま倒れ込んだ。 「は!」目を覚ますと、眞鍋の足元から激しい痛みが襲ってきた、「痛て、て」足元がぐらつきながら立ち上がると、さっきまで乗っていた車はボロボロになり逆さまに横転していた、その光景を見た瞬間ハッと思い出し慌てて警戒しながら横転する車の中を覗いた、車内を見てみると白い粉のような物が中で舞っている、すると眠ったまま壮真の姿を見つけた、「おい、大丈夫か?」壮真を呼び掛けていると思わず鼻を覆うような激臭な匂いが漂ってきた、すると眞鍋は鼻を抑え車内の中を潜り込んだ、「チクショウ」眞鍋は後部座席の方を見上げるとあのケースに入れていた大量の薬物が半分以上が漏れていた、そして車の破損で出火した火が激臭を作り出してしまった、その事にきずくと急いで壮真を起こそうと動き出した、「起きろ壮真!早く起きろ!」すると外から銃声が鳴った、眞鍋は微かな間から外を覗くと松岡達が武器を持って歩いて来ている、思わず眞鍋は息をのんだ、「松岡さん、遺体が見つからないです、おそらく未だ生きているはずです」 松岡は鋭い目付きで辺りを見渡している、「どこにいる裏切り者」 すると横転していた車の中から男が出てきた、「参った!壮真は差し渡す」、松岡は思わず驚いた、「何であんたがここに?」松岡は銃を構えながら問い詰めた、「理由なんかどうでもいい!」松岡や舎弟達はしばらく困惑していたが武器は構えたままだった、その時マシンガンの弾が流れる音が響いた、眞鍋は思わず後を振り向くと横転した車両の上でマシンガンを担いで立っている壮真の姿が見えた、「壮真、それって?」すると壮真はマシンガンの引き金を引いた、眞鍋はすかさず近く止めてあたった車の物陰に隠れた、ふと見上げると舎弟達は必死に銃を撃ちながら対抗するが何発も撃たれ死亡している者も見えた、「イャアーーーーーーーーーーーー」やがてマシンガンの弾が無くなるとすぐに壮真はその場で弾を入れ込み始めた、「壮真、しっかりしろ!」 「全員ブッ殺ーーーーース!」眞鍋の見る壮真の顔はもう正常な人間とは思えないほど狂っていた、「糞!、あの野郎ラリってやがる」眞鍋は意を決したように壮真に向け拳銃を向けた、「武器を下ろせ!」すると壮真は眞鍋の方を振り向きニコット笑った、その瞬間、壮真の頭に銃弾が当たった、「!」壮真は頭から血を流しその場からゆっくりと道路へと倒れた、眞鍋は突然の事に頭が真っ白になり、思わず倒れ込んでしまった、「何て事だ!」すると横からの笑い声が眞鍋の耳から頭の中へと入り込むかのように響き渡った、すぐに振り向くと、銃を振り上げたまま笑っている松岡の姿が見えた、「親父首取ってやりましたよ」松岡はさっきとは全く違う笑みを見せている、眞鍋は松岡が気ずいていないうちに拳銃を松岡のもとへと構え車を壁にしながら隠れ、慎重に接近した、そして、「武器を下ろせ、松岡!」眞鍋は松岡の後へ拳銃を向け武器を下ろすよう訴えた、すると松岡は急に表情を変え冷酷な顔を浮かべながら持っている銃を眞鍋への方へと向けた、「!」 眞鍋は睨みをきかせ銃を下ろすことなく訴え続けた、「あんたもブッ殺してやるよ」眞鍋は息を呑んだ、すると眞鍋の後から突然眩しい光が眞鍋の方へと射した、慌てて後を振り向いた瞬間、眞鍋は走ってくる黒い車両に思いっきり轢かれ体を吹っ飛ばされた、眞鍋は意識を朦朧としながら何とか立ち上がろうとするが、痛さに堪えられず倒れ込んだ、微かに見える強い光は段々と暗く閉じていった。 夜の9時半、辺りは暗くなりまもなく静かな夜を迎える時間帯、眞鍋は目を開けると車の座席に座り腕を縛り付けられていることに気づいた、すると突然思い出しかのように辺りを見ると、横に見知らぬ中国人が乗っており、前の座席には微かに松岡の姿も見えた、「この男どうする?」 運転をしている男は横に座る松岡に不安な顔で話しており時々こちらを覗いている、「刑事さん、あんたがどうして壮真と一緒にいたのかは知らないが、あんたは知りすぎた、今後又我々に近付いたらあの中田みたいに海に沈めてやるからな」松岡はこちらを振り向くことなく淡々と話している、「待て!これから戦争が起きるのか?」すると松岡は首を横に振った、「もう起きてる」すると走っていた車は突然道路の真ん中で止まり眞鍋の横に座る中国人は縛り付けられてある縄をほどき、眞鍋を車内から降ろした、「起きてるとはどういう事だ?!」 眞鍋は強く問いかけた、「じゃあな眞鍋刑事!」そう言うと松岡達はその場から去っていった、しばらくの間眞鍋は歩くことができずその場で倒れ込んだ、「クソ!、壮真は一体何をしでかしたんだよ」眞鍋はどうすることも出来ない事を悔やみ道路に何度も手を叩いた、すると頭に雨粒が落ちたような感触を感じた、しばらくすると雨が段々強く降りだしてきた、「まずいな」すると電池が僅かになっている携帯から着信音が鳴り出した、電話の相手は市川だった、「俺だ、どうした」 「眞鍋さん、緊急事態です、眞鍋さんが怪しいと踏んでいた神田組の組長神田と同じく組員の大川と言う男二人が港近くの道路付近で事故を起こして」眞鍋は市川の話すことに段々と理解が深まったのか恐ろしく鳥肌がでだした、眞鍋は雨に打たれる事を忘れ必死に電話の声に耳を澄ました、「二人は亡くなったようです、今鑑識が調べてるんですが眞鍋さん今どちらに?」 「市川!」 「何ですか?」 「すぐに神田組に何らかの繋がりのある人物を探しだせ、俺も捜査する」そう言うと眞鍋は電話を切った。 午後10時その日は夕方から深夜までの間に関東全域に大雨の警報が発令されていた、激しく地面に打ち付ける雨の音が外に響くなか、激しい雷雨に関わらず一人の男が外に出歩いていた、もちろんこんな大雨の日に人など出逢わない、男はよろつきながら歩きやがて信号がある道路へとついた、すると男は突然歩いていた道路へ倒れた、「ヴぅーーーー」数分後男は何とか意識を取り戻しあおむけに体を向けた、激しく頬に打ち付ける雨粒に微かに眼を開けることしか出来ない、しばらくの間男は倒れこんだまま動かなかった、やがて男は笑みを浮かべそして狂ったように笑い続けていた。
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