モノ語り―問いし君はも―

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太郎 姫、いつも言ってますけど姫は言葉がきついんです。彼女、怖がっちゃってるじゃないですか。もうちょっとおしとやかに喋れないですかね、それでも姫って立場ですか? 姫 太郎…あんた…!(太郎につかみかかる) オト あ、あの! 鬼の、姫様なんですか? 姫 う、うん。そうだけど…。 オト ということは、強い力をお持ちなんですよね? 姫 うん。持ってる。 オト (姫の肩を掴んで)姫様、お願いがあります! どうか、どうかお聞き届けください! 姫 え…。な、何? 太郎 まあ、とりあえず落ち着きましょうか。どうぞ、こちらにお掛け下さい。 オト はい。  オト座る オト 私は、この神社の鳥居が建て替えられたときに、古い鳥居から作られた櫛の魂なのです。 姫 へえ、よっぽど持ち主に大事にされてたのね。 オト そう、なのですか? 姫 そりゃそうよ。 太郎 元々が鳥居だったから他のモノよりは特別とはいえ、そうやって魂が形を抜け出して動き回れるほど強くなるのには、相当の思いが必要です。長い間大事に使われていたか、よほど強い念が込められたか。
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