見上げた君は青色。

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見上げた君は青色。

「――――ミリっ」  ハッと顔を上げた。  そこにはぼんやりと光る顔があった。  暗闇の中に、青く照らされた顔は、見慣れた顔――。 「……タクマ?」  私の呟きに、彼はホッと息を吐く。 「ああ、よかった。ここにいて」 「え?」  彼の言葉に首を傾げる。ゴロゴロ、と少し遠くなった雷の音にビクッと震えれば、彼は私の前に座り込んで、ぎゅっと抱きしめてくれた。 「帰ってきたら停電してるし、名前を呼んでも返事しないし。連絡もつかないから、心配して急いで帰ってきたんだ」 「そう、だったんだ……」 「うん。……それで、なんで連絡くれなかったの?」 「あ、それは……」  充電中だったから手元になかったことと、軽くパニックを起こして動けなかったことを語った。  私の話を聞いて、彼は一つため息を吐く。 「去年より酷くなってるし」 「し、仕方なかったんだって!」 「わかってるよ」  そう言ってタクマはふっと笑った。  彼の顔が、スマホの画面の光のせいでうすぼんやりと青く染まっている。  気が付けば嵐は過ぎ去り、電気もついた。  その時気付いたが、私が触れて倒したものは、コーヒーの入ったカップだったらしく、カーペットがすっかり茶色く染まっていた。  タクマは苦笑する。 「新しく買わなきゃなんないね」 「そうだね、ごめん」 「謝んなくていいよ。それよりも……」  私の頬をそっと撫でた彼は、微笑む。 「ミリが無事でよかった」  もう一度繰り返した彼は私の額にそっとキスをした。  思わず瞑った目の裏は、淡い青色が滲んでいるようだった。
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