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××悪夢のオリジナルブレンド××
太陽がブラウン管の中でぎらぎらと輝いてる。
巨大なテレビを中心にして、大勢の人達が輪になり踊ってる。大人も子供も、みんな笑ってる。同じような顔で。
テレビはとてつもなく高い台に置かれて、まるで祭壇みたい。
わたしはそのテレビの真下にいて、正座をしてる。
これからわたしは罰を受けるのだ。
みんなと同じように笑うことができないという罪で。
テレビのスピーカーからはコマーシャルソングが流れてる。
歯磨き粉を買って、君もイケてるみんなの仲間入り! って歌。太陽の顔をしたキャラクターが、歯ブラシ片手に歌ってる。
いい歌だ。
きれいな歯。わたしは気づく。笑みを浮かべる人々の歯はみんな真っ白で、美しい。まるで消毒済みのプラスチックスプーン。
それに比べて、わたしはなんて汚い歯をしてるんだろう。
これじゃあ笑うことなんてできやしない。だって、こんな汚れた歯を白日のもとに晒すわけにはいかないから。
わたしも歯磨き粉が欲しい。
歯磨き粉さえ買ったら、罰を受ける必要だってなくなるんだ。
コマーシャルソングが聴こえる。
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