室《むろ》

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俺は ばあちゃんと室に入ると いつまでも出たくなくて ばあちゃんを困らせた。 何をする訳でもないが 薄暗がりのジメジメした室という空間は 秘密めいていて そこにいるだけで さまざまな妄想が湧き起こるのだ。 暗く淀んだ空気には 悪の香りがあった。 地獄の入口へと通じている秘密の隙間から冷たい風が流れてくる。 そんな気がして 室の奥の壁の方に近づくことが怖かった。 怖いけど その隙間をいつか必ず確認しなければならないとも思っていた。
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