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【前編】
長々と連なる奥羽の山脈はいくつもの国を股がって聳え立つ。そのとてつもない大きさの居城をまるで庭のように駆け巡るもの達が居た。
――山賊――
平安時代に入る少し前。人々がまだ山越えを盛んに行っていた頃。
各地に出没しては暗躍した集団がいた。彼らは元々朝廷に反発した者達や貧困で食うに困った者達の集まりだと言われている。
旅の一行や、通りすがりの者達をあらぬところから襲撃しては、金品を巻き上げる。最悪の場合男性は殺され、女性は慰み者にされたという。
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