不登校でも素晴らしい事は有る

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 そうなった時に僕は「学校に行きたくない」と親に告げた。もちろん親は驚いて僕の事をどうにか学校に通わせようとするけれど、そんなのはどれも失敗に終わってしまう。 「救けてよ」 「そんな事を言っても自分でどうにかするしかない」  僕が勇気を振り絞って出した答えは親に簡単に反論されて、僕は言葉が無くなった。理解した訳じゃない。僕が本当にどうしたら良いのか解らなくなって救けを求めているのだからもう自分ではどうにもならないんだ。それなのに自分でどうにかできる訳も無かった。  それでも僕はパタンと学校に行かなくなった訳では無い。学校自体がキライならそんなの駄々をこねてでも行かない。けれど、僕は学校に行きたかったんだ。確かに休みがちだったかもしれないけれど、小学生の頃は結構普通に過ごせていて、楽しかった。  その思い出が有るから僕はまたあんな風に楽しく過ごしたいのに、今の僕にはどうしてかそれができなかった。  先生は僕が甘えてるから家が良いのだと言ったけれど、みんなが学校の時間に家に引きこもって、テレビも悪い気がしてただ時間が流れるだけの時間を過ごして居る事のどこが甘えていると言うんだろうか。その言葉にだけは大声で反対したかったけど、そんな事も出来ない僕は弱虫だった。  一週間も学校を休むともうその時は学校に行きたくてどうしようも無くなる。僕だけの毎日はとても退屈で楽しい学校が僕は羨ましかった。  それでも学校に普通を装って通うと、そんな事も無くなる。 「どうして休んでたの?」  悪意も無いだろう同級生のそんな言葉が僕を進めなくする石となって転がり僕はまたそれを拾った。  みんなが僕の事をどう思っているのだろうと思うと怖くなってしまう。授業の時間が長くてもう勉強も着いて行けない僕はただ苦しむだけになっていた。  普通ならみんなが休憩する休み時間も僕にとっては苦痛にしかならなかった。もう仲の良い人間なんて居なくなって話をする相手なんて居ないので、ただ机に座って時間が流れるのを待っているだけだった。  どうにか普通に学校に通うだけなのに朝はお腹が痛くなって、学校の時間になると動けなくなってしまう。どうしてなんだ。僕はそんな風に思うようになっていた。
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