初恋は暗闇の中

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 意外な人物が話に入ってきた。いかにも文化部系な眼鏡の一年生、(みやこ)くんである。ちなみに、こんな大人しそうで礼儀正しい性格してるくせに、幼稚園時代からずーっとサッカーをしてきた熱血サッカー少年だ、ギャップすごい。一年生でぶっちぎりで上手く、するーっと余裕でエースストライカーの座を射止めた人物でもある。 「陽菜先輩の好みはわかりませんけど、このサッカー部にはいなさそうだなとは思ってました。主に、品性のない方々が多すぎるがゆえに」 「ちょっと都クン?」 「そうそう!ほんとそうなんだよ、都くんはよくわかってるう!」 「もしもし陽菜サーン?」  私が都くんに同意すると、律儀にツッコミ入れる綺斗。俺達品性ないんですか?と隣のこーちゃん先輩に尋ねるまるくんと、知らなーい!とどこ吹く風のこーちゃん先輩という構図が出来上がる。  そうなのだ。どいつもこいつも、品性というものが足らない。サッカー部というばりばりの運動部にあって仕方ないことなのかもしれないが、だからってもう少しマナーとか礼儀とか常識を持って欲しいやつらばっかりなのだ。少なくともバレンタインデーに、“お前どうせ一個もチョコ貰えないだろ?”と言いながら人のロッカーを大量の一口チョコまみれにして面白がるような奴に用はないのである。おい、お前のことだぞ綺斗! 「そもそも、私一応サッカー部唯一の女子マネなわけ。普通ならこれ、逆ハー狙えてもおかしくないポジションだと思わん?」  はああ、とため息をついて言う私。 「それなのに、何でこんな大事にされてねーの?なんか女扱いされてる気配もないって悲しくなってくるんですけど?」 「だ、そうですよ皆さん。どうなんです?」  私の言葉に、都くんが三人の男子を見て言うと。綺斗、こーちゃん先輩、まるくんはそれぞれ顔を見合わせてから言ったのだ。 「だって暴力女だし?」 「だってどちらかというと観察対象として面白いし?」 「だってからかうと楽しいし(^○^)b」 「ぶっ飛ばすぞお前ら」  おのれどいつもこいつも。ほんとにどついたろか、と私がそう思った時だ。 「ふへっ!?」  突然、私達の視界は真っ黒に塗りつぶされたのである。
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