ないものねだり

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ないものねだり

 ライブにお母さんくらいの年頃のファンの人が来てくれた。  今回のライブはいつもより小さい箱でやっていて、短めのライブのあとにはファンとの交流の時間もある。どちらかといえばファンミーティングといった方が近いかもしれない。  交流の時間にその人と会って、ハイタッチをして、応援の言葉を貰って、お母さんがライブに来てくれたようで嬉しかった。  楽屋に戻ったあと、お母さんのことを思い出す。アイドルになることを応援はしてくれたけど、今ではことあるごとに引退して家庭に入れと言う。  私がアイドルなのを自慢するのに、自分勝手だ。  さっきのあの人のことを思い出して思う。  今の私を認めてくれるあの人が、お母さんだったら良かったのに。
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