食堂で

1/11
前へ
/182ページ
次へ

食堂で

確かに、そろそろ晴太たちもお腹が空きだしたことであった。食堂の付近を見ると、すでにたくさんの学生が出入りしている。キリアン達は観音開きのオーク材のドアを通り抜けた。 「ここの食堂はすごいぞ、メニューは毎日三十種類以上のバイキング形式。朝食もたっぷり。混雑を避けるために昼休みは二時間ある。食べ過ぎて、午後の授業寝るなよ??」 中は、入学式の行われた大聖堂と同じぐらい大きく、全校生徒が入ってもまだ余裕がありそうだ。聖堂もそうだが、見た目より実際に中に入ったほうが何倍も大きい。両側にはずらりとカウンターが据え付けられていて、美食魔法を使うコックやドワーフ、家小人たちがせっせとおたまや包丁を動かしている。木造の食堂には、たくさんのスパイスやフルーツ、煮込み料理の湯気が漂い、晴太たちの鼻腔をくすぐってくる。 「うわあ、良い匂い。なんだかもうお腹すいてきちゃいましたよ。」 と晴太。 「はは、ちょうど良い時間だし、ここで昼飯にしようか。あそこに皿と盆があるから、好きなの取ってきなよ。」 とキリアン。 「あ、あの。僕は、食べられない動物がいくつかあるんだが・・・。」 「ああ、そうか。俺とは違う宗教なんだよな。えーっと、実はこの学校、アレルギー対応しかしてないんだよね。で、動物の肉ってのはアレルギー持ってるやつがあまりいないから、たいていのものにオマールの食べちゃいけない動物が入ってるかもしれない。俺が一緒に行って聞いてやるよ。」 「あ、ありがとう・・・。」 オマールと連れ立ってカウンターへと向かうキリアンをニキアスが羨ましそうな目で眺めていた。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加