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食堂で
確かに、そろそろ晴太たちもお腹が空きだしたことであった。食堂の付近を見ると、すでにたくさんの学生が出入りしている。キリアン達は観音開きのオーク材のドアを通り抜けた。
「ここの食堂はすごいぞ、メニューは毎日三十種類以上のバイキング形式。朝食もたっぷり。混雑を避けるために昼休みは二時間ある。食べ過ぎて、午後の授業寝るなよ??」
中は、入学式の行われた大聖堂と同じぐらい大きく、全校生徒が入ってもまだ余裕がありそうだ。聖堂もそうだが、見た目より実際に中に入ったほうが何倍も大きい。両側にはずらりとカウンターが据え付けられていて、美食魔法を使うコックやドワーフ、家小人たちがせっせとおたまや包丁を動かしている。木造の食堂には、たくさんのスパイスやフルーツ、煮込み料理の湯気が漂い、晴太たちの鼻腔をくすぐってくる。
「うわあ、良い匂い。なんだかもうお腹すいてきちゃいましたよ。」
と晴太。
「はは、ちょうど良い時間だし、ここで昼飯にしようか。あそこに皿と盆があるから、好きなの取ってきなよ。」
とキリアン。
「あ、あの。僕は、食べられない動物がいくつかあるんだが・・・。」
「ああ、そうか。俺とは違う宗教なんだよな。えーっと、実はこの学校、アレルギー対応しかしてないんだよね。で、動物の肉ってのはアレルギー持ってるやつがあまりいないから、たいていのものにオマールの食べちゃいけない動物が入ってるかもしれない。俺が一緒に行って聞いてやるよ。」
「あ、ありがとう・・・。」
オマールと連れ立ってカウンターへと向かうキリアンをニキアスが羨ましそうな目で眺めていた。
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