食堂で

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「よ、よし。出でよ。男を弄びし、魔性の妖、けらけら女。」 晴太は懐から札を取り出すと言葉を唱えた。巨大な女の生首が空中にゆらゆらと浮かび、ニタニタと不気味な笑顔を浮かべている。髪はワノ国風に結いあげてあり、体に毒ではないかと思われるほど、真っ白に白粉を塗りたくっている。唇にキリリと引いた真っ赤な紅とのコントラストがなんとも鮮やかで毒毒しい。 「あらー、随分久しぶりじゃなあい、晴太ちゃんったら全然呼び出してくれないんだもん。いけずう。」 くねくねと晴太の周りを浮遊しながら、淫靡な笑いを振りまく。巨大な顔面に相応しく声のボリュームもけた違いに大きい。ちょうど思春期の終わりに差し掛かろうとしている学生たちは、ワノ国の妖怪の陰鬱で荒々しい性のエネルギーに圧倒されていた。 「あら?あらあらまあまあ、晴太ちゃん、魔導学校に受かっちゃったのね!ちゃんと報告してよ、いけずぅ。やだやだまあまあ、ワノ国にはいないイケメンばっかであちき、興奮しちゃうわぁ。」 だらしなく口元を緩め、男子学生たちをそれぞれ物色している。皆ひいっと小さく悲鳴を上げて、一歩引いている。特にニキアスとキリアンが気に入ったようで、大きな顔面をぬっと近づけ、バチンとウインクしている。二人もさすがに頬を引きつらせながら、後ずさっている。 「ああーん、目の保養だわー。晴太ちゃん、これから毎日呼び出してくれなきゃヤ・ダ。」 「今日の相手はあの大男だよ。けらけら女。色々教えてあげてくれ。」 「あら、大きい男もいいわあーー。晴太ちゃん、御意♡アチキが手取り足取り教えてあげるわよーー。」 甲高い声を上げながら、デイブの方に突進していく。 「な、なんだよ。この女、気持ち悪い。く、来るな、や、止めろ!!ぎゃあああああ!!」
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