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「ねえ、ところで召喚魔法ってどうやって使うの?オーラを使うんじゃないのね。」
とヴィオラが興味深々な様子で尋ねる。
「うん。僕、オーラっていうのが何なのかいまいちピンと来てないんだよね。ワノ国の召喚術師たちはみんな、召喚札を持ってる。魔法を使うにはまず、魔導生物と召喚の契約を結ぶ必要があるんだけど、僕たちはそれを紙札にして持ってるんだ。入学式の大蛇も実は白い煙の中で召喚札を取り出してた。」
「へー、でも晴太さっき呪文みたいなのを唱えてたわよね。札だけでは呼び出すことはできないってこと?」
晴太は少しはにかみながら答える。
「ああ、あれはあの子がそういう決まり文句で呼び出してほしいって言われたんだよ。そうそう、魔導生物によってはそうやってちょっと変わった方法を好む子もいるんだ。ま、魔導士と生き物の約束事みたいなことだからね。」
「すごい、なんだか結びつきを大切にしてるのね。」
ワノ国の魔法や文化を思い返してみた。確かに、ワノ国の精神は結びつきを大切にしているかもしれない。それが良い方に働くこともあれば悪い方に働くこともあった気がするが。
「だが、その召喚札はどうやって手に入れるんだ?」
とオマールが別の疑問を投げかける。
「生物と契約するときに作るんだよ。もしくは、他の魔導士から召喚札を譲り渡すこともあるよ。三者の間で合意がなされればね。」
「なるほど。かなり興味深いな。もっと色々と教えてくれ。」
オマールが熱心に召喚の魔法について、聞きたがっている。晴太は悪い気はしなかった。自分の魔法が独特なことは少し気になっていたけど、こうして注目されるのは悪いものではない。先ほどの痛みも忘れて、晴太は食事と会話を楽しみ始めた。
晴太は、うま味と栄養を存分に体中に取り込んだ。料理に染み込んでいる魔法が体の細胞の隅々まで行き渡るような気がした。襲われた時の傷よりも、辱められた記憶の方がキリキリと晴太の胸を苦しめていたが、それでも少しだけ楽になった気がした。
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