一日の終わり

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中庭の東の頂点に位置する学生寮は、クリーム色の外壁で入り口には、バラやジギタリスが植えられていて、学園の他の建物とはずいぶん趣が異なっている。主玄関の前には掲示板があり、新入生の部屋割りは全てそこに張り出されている。初日のオリエンテーションを終えた新入生がちらほらと自分の部屋を確認しているのが見受けられる。学生寮を玄関で二つに割り、右側が男子棟、左側が女子棟になっているようだ。さらに新入生は一階で、学年が上がるにつれ、上の階に引っ越しできるようになっている。 「うーん、僕たち。部屋はあまり近くないみたいだね。」  と晴太。女子であるヴィオラはもちろん、晴太とパンカジュ・オマール・ニキアスもそれぞれ離れたところに部屋をあてがわれた。 「残念だよ、オマール。いつでも僕の部屋に来ていいんだからね。」  とニキアスが魅惑の笑顔を振りまきながら、オマールに語り掛ける。 「あいにくだが、午後八時以降は他人の部屋に原則入ってはいけないことになっているからな。変なことはできないぞ。」 「心外だよ、オマール。まるで僕に下心があるみたいじゃないか。」 「下心しかないだろう、お前は!!」  痴話げんかしている二人は放っておいて、晴太たちは自分の部屋へ荷物を運び入れた。 正面玄関を右に曲がって男子棟の方へ行き、さらに二回ほど突き当りで曲がると、HARUTA・TANAKAと表示された部屋にたどり着いた。心臓をドキドキさせながら、ダークブラウンのマホガニー材のドアを開けると、清潔で明るく、居心地の良い空間が晴太を待っていた。ほのかに香る花の香りをいっぱいに吸い込むと、晴太は自分の荷物をベッドの横に置き、柔らかいパステルオレンジのカバーがかけられたベッドに飛び込んだ。晴太は目を閉じて、ワノ国を出た日から今日までのことを思い返していた。世界最高峰の魔導学校に入れた喜びや、新しい友達のこと、入学式の前に起こった出来事、そしてさっき食堂で起こった出来事のことがどっと押し寄せてきて、晴太はいっぱいいっぱいになりそうだった。晴太はいつの間にか目を閉じ、忘却と記憶の間にこれらの出来事を置いた。
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