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休戦協定
五人とも翌日のオリエンテーションはなんなくこなしていた。昨日の食堂での喧嘩が早くも他の新入生たちに伝わっているのか、どこか五人とは距離を置いている生徒が多い。
「僕たち、もう浮いちゃってるのかな。」
とひそひそ声で晴太が囁く。
「人の目など気にするな!僕たちは何も悪いことなどしていないだろう。」
オマールは反対に人目もはばからず、王族を思わせる声で答えた。人形のように可愛らしい容貌とはずいぶんギャップがある。それに加え、ニキアスの美貌に見とれるものも多く、そのせいか恍惚と好奇の入り混じった表情が五人に向けられている。
「やっぱり、皆から見られてるね、ニキアス。」
「まあどうってことないさ。慣れてるからね。」
パンカジュにバチっとウインクしてみせた。パンカジュはさっと目を伏せた。少年は少女よりも心かき乱せりだ。オリエンテーションでは、一日のスケジュールと今後履修する授業のざっとした説明、クラブ活動の紹介などで終わった。オリエンテーションが終わると、みなおおむね昨日の学校案内の組か、同じ中学校出身の友人同士で連れ立って食堂へと向かう。五人は他に友達などいなかったから、しょうがなくというか当然のように一緒に食事に出かけた。
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