夕焼けに待つ

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 寂れた無人駅に、夕日は沈まない。  Xは何をするでもなく、ぼんやりと駅のホームの椅子に腰掛けていた。  ここが単なる無人駅でないことは、全く読めない文字の書かれた看板と、長らくそうしていても沈む気配を見せない夕日で明らかだった。そもそも、この駅にはホームの外側が存在しない。改札の向こう側には、光ひとつ射さない闇がわだかまっているだけだったから。
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