しげしの道 B.化け物屋敷の住人達

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 4. 家庭内民主主義 ?  ところが、何で、父と母が、もめた時だったか。  突然、父が、あきれる事を、言い出した。  「 家族みんなで、話し合って決めよう!  入院中、子どもたちも、それぞれ、がんばった。  みんな、一人前に扱うべきだ。」  これには、母も、異を唱えようがなかった。  こうして、週に1度、『 家族会議 』なるものが、始まった。  家族会議は、『 全員一致 』が、大原則。  一致するまで、全員で、徹底的に話し合った。  が、次の週に持ち越せない緊急議題は、例外。  夜、10時過ぎると、多数決をする事になった。  その際、全員平等に、1票ずつが与えられたのだ。  わが家は、子供が、姉、兄、ぼくと、3人いる。  団結すれば、多数決では、負けようがない。  親も子も1人1票は、さすがに、行き過ぎでは?  こづかい値上げ等、簡単に決まってしまうのでは?   普通は、そう思う。    が、実際には、その『 数の論理 』は、現実化しなかった。  例えば、『 こづかい値上げ法案 』は確かに提出されはした。  が、姉が反対した事で、採決するまでもなく、廃案に。  父の入院中、苦労したのは、母だけではない。  一番年上だった姉も、様々な苦労を、したのだ。  こづかい値上げに反対したのも、今のぼくなら、理解できる。  『 自分一人いい子になる、許されざる裏切り行為 !』  と、当時のぼくは、思ったのだったが。  給料・借金・貯金・生活費等、すべての情報を、完全に公開。  常に、全員一致を目指して討議する、全員の真摯な態度。  緊急議題で、やむをえず、多数決する事は、確かにあった。  が、その際も、『 事前談合 』や『 数の暴力 』等、一切なし。  『 化け物屋敷 』で、『 家庭内民主主義 』が、始まったのだ。    ( 5. なぜ、古新聞があった? に続く)
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