しげしの道 B.化け物屋敷の住人達

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 1 . 化け物屋敷事件 ?  中学3年の時だったと思う。  家で、ぼんやり外を見ていた。  幼稚園ぐらいの男の子。  母親に手を引かれてやって来た。  急に、立ち止まる。  わが家を、じっと、不思議そうに見ている。  わが家を指さし、大声で、  「 ママ、ここ、なにがおるん?」  「 ナ、何を、言ってるの!  人が、住んでいらっしゃるのよ。」  「 エ~、ホントに~ ?」  ママは、大あわて。  子供を抱きかかえて、走り去った。  怖い人が怒って出てくるのを、心配したのだろうか?  家の中では、ぼくと母が、大笑い。  『 化け物屋敷事件 』  この出来事は、わが家では、そう呼ばれるようになった。  わが家は、近所で『 化け物屋敷 』呼ばわりされてたので……    なぜわが家は、化け物屋敷状態に?  元々、借地の、ひどく古ぼけた家に、住んでいた。  ある頃から、家の修理どころでは、なくなったのだ。  小学校3年生の頃、父の会社が、倒産。  それが、すべての、始まりだった。  「 ヤーイ、しげしの、とうさんの会社がとうさん!」    などと、同級生達から、ダジャレで、攻撃された。  なぜ、父の会社の倒産がわかったのかは、不明だが。  父は、親戚に借金、個人タクシーを始めた。  ところが、人身事故を起こし、窮地に。  車ごと、小さなタクシー会社に、身売り。  そのタクシー会社は、1日交代制だった。  が、借金を抱えた父は、その車で、毎日働いた。  過労で肺をやられ、入院。  病院を出た後も、療養所へ。  結局、家に帰るまで、足かけ3年かかった。  ( 2.「ラジオ」は禁句? に続く )
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