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「あかん!母ちゃん触ったらエスパー使ってまうやんか!」
「燦射音、ごめんな、母ちゃん、エスパーちゃうねん。
普通に力入れてスプーン曲げとってん。
あんたの気ぃ引きたくて嘘ついとったんや。堪忍してや!」
オレはギューっと目をつむって手に力入れるのに必死やった。
母ちゃんがエスパーちゃうのはなんとなくわかっとった。だってオレもう一年生やねんで。
だから、親指だけで腕立て伏せしたり(一回もできへんかった)、けんすいしたり(そもそも掴まっとれんかった)して秘密の特訓してきたんや。
力入れすぎて顔があっちっちになっとる。指が痺れてきた。
「モヤシが頑張っとるで!」
「男子もうやめえや!」
「赤面&涙目の美少年マジやばい」
「燦射音がんばれ!」
なんか外野がうるさい。でももうあかん。手に力入らへん。
でも目を開けると、母ちゃん程じゃないけど、スプーンはしっかりお辞儀しとった。
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