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帰る、その場所への思い。
「帰るの?どうしても?」
俺は背を向けて振り返ろうとしない、彼女に声をかけていた。
呼び止めるべきではなかった
…呼び止めては、いけなかった。
呼び止めた俺も、
立ち止まった彼女もわかっていた。
彼女はゆっくり振り返ると、
どういう心境なのか読み取ることのできない表情を俺に見せた。
「…帰れなくなるから。」
そう言わせてしまった俺は、
さっきまで並んで座っていた包み込むような大きなソファーに
ただ独り座っているだけだった。
そんな俺を彼女は無表情で見下ろしていたが、必死に笑顔を見せてくれようとしていた。
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