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娘の名前は、生まれてくる前から『未玖』にしようと決めていた。
私の名前から一文字と、理玖の名前から一文字とったのだ。私と理玖は本当の親子ではないけれど、生まれてきた未玖を通して私たちの絆がこれからも繋がっていくように。
そのことを伝えると、理玖は少し照れ臭そうにしながら喜んでいた。
「おかーさん、ミクちゃんのことだっこしていい?」
しばらくベビーベッドのそばで未玖のことを見ていた理玖が、うずうずしながら訊ねてくる。
「いいよ。座って抱っこしてあげて」
「わかった」
頷いた理玖が、ベビーベッドの下のカーペットにペタンとお尻をつける。
「片方の手は、首の後ろを支えてあげてね」
未玖をベッドから下ろして膝にのせてやると、理玖は言われたとおりに首の後ろを支えて未玖を抱っこした。
私や理一さんが抱いているときはものすごく小さくる見える未玖は、5歳の理玖に抱かれているとアンバランスで意外に大きく見える。
「抱っこしてみてどう?」
「かわいい」
「これから、仲良くしてあげてね」
「うん。ミクちゃんのことはリクがまもってあげる」
理玖の発言が、急にお兄さんらしくて頼もしかった。
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