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「かわいい……」
ほんの少し頬を染めて呟く理玖だって、娘の反応に負けずに可愛い。
「未玖も、早く理玖に会いたがってたよ」
「ほんと?」
「うん、だから嬉しくて理玖の指をぎゅってしてるのかもね」
私がそう言うと、理玖が頬を染めながら頷いた。
「ほら。理玖も未知も、玄関で止まってないで中に上がって」
玄関先で靴も脱がずに屈んでいると、理一さんが苦笑いしながら私の肩をぽんと叩く。
「未知のお母さんも、待ってくれてるよ」
「そうだった」
理一さんに促されて娘を連れてリビングに連れて行くと、手伝いに来てくれた母が嬉しそうに迎えてくれた。
「可愛いー。寝てる顔が、未知の赤ちゃんのときによく似てるわ」
母にしばらく抱っこしてもらってから娘をベビーベッドに寝かせると、理玖がすぐさま近付いてきた。
娘が産まれる前に性別を伝えたときは「おとこのこがよかった」と号泣した理玖だけど、今は少しでも長く赤ちゃんのそばにいたいらしい。ベッドで眠る娘の寝顔をじっと見ていた。
実際に生まれてくると、性別なんて関係なく赤ちゃんが可愛いみたいだ。
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