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「おかーさん」
「ん?」
「ありがとう。ミクちゃんのことうんでくれて」
「うん……」
どこまで理解して私にそんなことを言ったのかはわからないけれど、理玖の言葉が嬉しかった。
そばに歩み寄ってきた理一さんが、嬉しそうに未玖を抱っこする理玖を優しく見つめて私の肩を抱く。
理一さんを見上げて笑いかけると、彼が目を細めて笑い返してくれた。
「未知、写真撮ってあげる。未玖ちゃんが退院してきた記念に、家族4人で」
スマホを持った私の母が、私たち4人に向かい合うようにして立つ。
「はい。理玖くん、こっち見てー。未知、未玖ちゃんのお顔が見えるようにしてあげて。はい、チーズ」
未玖の首を支えて顔が見えるようにすると、母が横向きに構えたスマホに向かって笑顔を作る。
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