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私は前から時々週刊誌のお世話になっていた。
内容は毎回ほぼ同じ「太陽と月」「光と影」だ。
全てに恵まれた芸術家、その妹はこんなにも堕落した人間である。
高卒で長年イラストの専門学校に通っていたが、才能に恵まれなかった。
パートで細々と金を稼ぎながら、それでもまだ夢を諦めきれず、個人的に同人誌を書いて販売するがそれすらほとんど売れることはなかった。
終いには承認欲求を満たすためにSNSで男遊びまでも始めた。
私はそういう風に世間に認識されていた。
だから妹が姉を妬んで殺したという「物語」は簡単に出来上がった。
姉の別荘周辺で私を目撃したという証言が大量に集まり、警察も含め誰もが「物語」を真実として認識した。
私に「物語」に抗うすべは無かった。
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