みんなが望む物語

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そうだ、私は姉のことが大好きだった。 それだけじゃない、同人誌を描きあげたことも、それが10冊売れたことも涙が出るほど嬉しかった。 男遊びはただの趣味だ。私は結婚したり家庭に入ったりするよりも、自由な関係の方が向いていただけに過ぎない。 姉のことは尊敬していたけどちっとも羨ましくは無かった。 私は姉には無い良いところを持った唯一無二の「自分」だったからだ。 だけど、私がそれを主張したら、誰もがそれを否定した。 私が少しでも姉への愛を、生活の充実を口にする度に、世間はそれを認めなかった。 (そんなこと言って、結局裏では妬んでるんだろ) (そんな綺麗なわけない、ドロドロしてるよきっと) (女と女だもんな、怖い怖い) まるで、「物語」に反する私を怖がるかのように。
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