みんなが望む物語

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そんなことが繰り返されたある日、私は心の片隅でも考えたことすらない姉への妬みを口にした。 人々はそれを窘めたり非難したりしたが、皆安堵していた。 それからは止まらなかった。 私は自分の喜びを否定し、自分の趣味を否定し、姉への愛を否定した。 その度に世間は安堵していた。 私の「自分」は皆に望まれて消えていった。
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