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冷たい空気が頬を刺すような刺激を与える。
時折吹き付ける強い風圧がガラスを叩く音に驚きながらも声を出さないようにグッと堪える。
「兄ちゃん、いつまでここにいるの?」
隣に座り込む弟の優太が小声で話しかけてくる。
「もう少しだな、もう少し暗くなったら行こう」
左腕に付けた時計の長針と短針が重なりそうになったのを見て答える。
隣に座る優太はよほど寒いのか俺のポケットに入っていたカイロを抜き取り暖をとっている。
「お前、カイロ持ってこなかったのか?」
「うん、こんなに隠れてると思わなかったから」
「たしかにこれは予想外だがカイロくらい持ってきておけよ」
少しシュンとした様子の優太の頭を2、3度ポンポンと叩き、予備で持ってきていたカイロを1つ袋から開ける。
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