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「優太、行くぞ」
近くに人がいないことを願いつつ隠れていた柱の影から動く。
冷えた優太の手を握り2人の男が先程出て行った扉に手をかける。
カチャン、と音がして扉を押し出すと正面からより冷たい風が顔に吹き付ける。
道路の左右を確認すると既に人影はなく、街灯の灯だけが光っている。
奴らがどっちの方向へ向かったのかはわからなかったが身を潜める場所が多そうな左へ向かうことにした。
「いいか、足音が聞こえたり人の気配を感じたらちゃんと言うんだぞ」
「わかった。」
短く会話を終わらせて2人で歩き出す。
街灯の灯を頼りにひたすらまっすぐ歩き続ける。なるべく音を立てないようにはするものの静かすぎるこの街では少しの音も大きく反響するように感じる。
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