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15分ほど歩いたところで左腕が引っ張られる。
「兄ちゃん、こっち」
微かに聞こえた優太の声にも引かれ、目の前にあった家の敷地に足を踏み入れる。
「どうした」
「後ろに人の影が見えたのと、ここ僕の友達の家だったから隠れられると思って」
優太はそう言いながらポケットから取り出した先の曲がった針金を鍵穴へ差し込み右に左にと動かす。
わずか数秒でカチャと音が鳴り解錠される。
そのままゆっくりと扉を開けて家の中へ入る。
「2階なら暗くて見つかりにくいから行こう」
家の構造を把握している優太を信じて後ろをついていく。階段を登ると扉のない通路が一本伸びていてどこまでが通路なのかわからないほどの暗さだった。
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