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地上に戻ってきて
一週間後。
三浦と森本は、無事地上へと帰ってきた。
「また何かあったら遊びに来てください」
と地底人は言っていた。
実際、地底人の集落での生活は快適で三浦も、警戒心を持っていた森本もすっかりくつろいでいた。
友達も何人かできたくらいだ。
ただ、不便なこともあった。
それは、停電が多いことだ。
地底では電力の供給が不安定らしく、日に何度か停電があった。
そのたびに、三浦と森本は近くの地底人の帽子を取り、股間にある金の玉をもいで光を得る必要があった。
地底人の間では、停電の際に他の人の帽子を取って頭を光らせ股間の金の玉をもぐのが礼儀なのだ。
手足が短く、頭と股間に手が届かいゆえに生まれた相互互助的な習慣であった。
最初は三浦も森本も暗闇で他人のズボンを脱がす行為にもたついたものの、一週間も生活するとすっかり慣れてしまった。
困ることといえば、地底人がうっかり二人のズボンを脱がそうとしてしまうことと、森本が三浦にとびかかりそうになることくらいだった。
さて。
地上に戻ると、当然だが二人には地上での生活があり、仕事がある。
一週間の失踪という問題があったものの、そこはうまく政府と地底人が言い訳をしてくれている。
二人は実にスムーズに会社に復帰することができた。
「さて、みんな!三浦と森本が今日から復帰する!
わしらもより一層会社の発展のために頑張っていこう!」
朝礼の場で、二人の勤務する龍山寺商事の社長である龍山寺斬鉄が豪快に言い放った。
斬鉄の横で三浦と森本は、久しぶりの職場に気合を入れなおす。
その時、ふっとあたりが暗くなった。
「停電だ!」
周りが慌てふためく中、三浦と森本は冷静だった。
なんせ一週間過ごした地底では、停電なんて日常茶飯事だったのだ。
二人は、極めて冷静に、落ち着いて、いつも通りに停電に対処する。
すなわち、二人は隣に立っていた龍山寺斬鉄社長のズラを実にスムーズにはぎ取り、ズボンを迷いなく丁寧にずりおろし、その股間についている二つの玉に手をかけた。
「ひゃん!」
悲鳴が響き、明かりがつく。
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