北陸本線(短編)

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 富山駅からバスに乗った。夕刻のラッシュで満員だったバスは、停留所に停まるごとに人を吐き出した。岩瀬浜というバス停を過ぎると車内は閑散としていた。  乗車から一時間、海辺のバス停に降り立つと、どーん、という音が聞こえた。  海岸線が近い。荒波が消波ブロックで砕け、黒い大気を震わせていた。  宿はいかにも公営ユースホステルといった雰囲気の、コンクリート造りの角ばった建物だった。  それでも玄関に明かりが点いていて、気持ちを安らかにしてくれた。  暖房があって、食事が出て、ベッドがある。  これだけ揃っていれば、貧乏学生には充分贅沢だ。  僕は到着が遅かったので、一人分残された夕食をそそくさと掻き込んだ。  ご飯と、みそ汁と、あと何を食べたのか覚えていない。ただ、腹が減っていて、とても美味かった。  それから風呂を浴びた。少年サッカーチームが一度に入れるくらい広い浴槽に、僕は一人で浸かった。  風呂から上がると、タオルで髪を拭くのもそこそこに、僕は談話室に向かった。  先客が三人居た。  長髪の若い男性、癖っ毛ショートの女の子、存在感のあまりない坊主頭の男の子。
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