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寂しい半生記
母親は、相変わらずな生活を送っていた。
アル中が、酷くなり、暴れ回り、祖母に、
攻撃を、するようになってきた。
誰彼構わずに、絡んでは、暴れて、幻覚、幻聴に、悩まされて、病院に、無理矢理入院させた。
入退院を繰り返して、そんな母親を
わたしも、兄も、姉も、母親を、捨てたのだ。
祖母だけは、どんな目にあっても、見放さなかった。
どんなに、罵られ、殴られても、蹴られても
小言を言いながら、母親を、庇っていた。
私には、そんな祖母の気持ちがわからなかった。
いつも、思っていた「早く死ねばいいのに」
祖母が、亡くなると、私も、兄も、姉も
母親に、会いに来ることはなかった。
母親は、晩年には、施設に、入り
誰一人として、訪ねて行くことも、なかった。
自業自得だとおもっていた。
会うことは、二度とないだろうと思っていた。
叔母の葬式で何十年ぶりに、母親に会うことになる。
あんなに、男のために、生きていた女の姿は、なくて
昔に亡くなった祖母に似た、小さい母親がいた。
昔の、面影などなくて、ただのお婆さんになっていて、ショックだった。
早く、その場から、離れたかった。
こんな年をとったお婆さんは、知らない。
あんなのは、「お母さん」でも、いつも見ていた「女」でも、なかった。
でも、やっぱり、かわいそうだとか
側にいてあげようとか、微塵も、思わなかった。
ただのお婆さんになった、母親は
「来てくれてありがとう」と言った。
私のことなど、微塵も、考えたことなどない
母親が、お礼を言ってきた。
気持ち悪かった。
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