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「まあ……単純に反応かな、レンが可愛かった」
あああ、そうなんですねぇぇぇ! ますます妄想が掻き立てられるぅ! あの大山さんの可愛い反応かあ、その大山さんじゃないと駄目だなんて……あ、いかん、よだれ、出ちゃう!
「かといって女に興味がなくなったわけじゃない、こんな暗がりの密室にふたりきりにされて、少なからず興奮してる」
「──へ?」
間抜けな声が出ると、池中さんはにやりと笑って私を見た。
「それが、八代さんでよかったなって思ってる」
「──ふぇ?」
「他の女だったら早くここから出たいって思うけど、八代さんとなら少しでも長くいたいなって思ってる」
言葉の意味を理解しようとしている間に、池中さんは壁を背中で押すようにしてそこから離れた、たった一歩だ、私に動いただけで私たちはぐっと近づいた。
目の前にある池中さんの胸、ネクタイを追って視線を上げると間近にある池中さんの綺麗な顔。
「あの……」
何を言っていいか判らず息を呑むと、池中さんはにこりと微笑み、その体は近づいた。
私は完全に壁と池中さんにサンドイッチにされる。
ひえ……っ、近い、近い! いい香り、暑い、苦しい……!
「池、中、さ……っ」
池中さんの手が私の髪を撫でて、その輪を縮めようとした時、頭上から大きな音がした。そして差し込む眩しく感じる光に目を細める。
「お待たせしました!」
男性の声が聞こえる前に池中さんは離れていた、熱が去って急激に寒さを感じてしまう。
天井の一部が外れてそこから懐中電灯で照らされていた、エレベーターのカゴは3階と4階の間に止まっていたようだ。
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