#2 恋から逃げられない(腐女子×バイ)

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「ご無事ですか?」 警備員の言葉に池中さんがはい、と答える、その前に聞こえた呟きは聞き逃さなかった。 「あと5秒待って欲しかったね」 その5秒で何をするつもりだったのか、怖くて聞けなかった。 上と下で、どうやってここから出ようかと相談している、梯子を持ってくるという警備員に池中さんがいう。 「八代さんは上げてあげるよ」 むっちゃ笑顔で言われた。 「え、そんな、軽くないですよ?」 決して小柄な方ではない。 「大丈夫だよ」 そういって身を屈め、私の膝のあたりを腕で抱き締める。 「え、え、え!?」 ひょい、と担ぎ上げられた。 「でも! どうせ梯子がないと、池中さんは出られないし!」 「とりあえず早く出たいでしょ」 「そ、そうですけど……!」 「手、届く?」 「──はい」 残念ながらあっさり届きます、カゴの天井に手をかけた。 「後は俺の肩に足かけていいから、よじ登って」 「そんな! イケメンを足蹴になんか!」 「緊急事態でしょ」 池中さんは笑っていう。 「意外とそんなプレイも好き」 「もう、バカ!」 怒鳴るけれど、池中さんの腕が緩んで、足裏を支えてくれる、更に上げようというのだろう。 「あの、せめて、靴くらい脱ぎたい」 池中さんの手も、肩も汚したくない。 「はいはい、じゃあ、俺の肩に膝かけて」 「は、い」 そうしようと思ったけれど、いや、待って、そんなことしたら、池中さんの顔に、顔にぃ! と戸惑っている間に、パンプスは床に落とされた。 「ほら、上がりな。警備員さん、支えてあげてください」 はい、といって若い警備員さんが私の上腕を掴んでくれる。 「はい、せーの」 池中さんの掛け声と共に、私は天井を掴んだ手に力を込め、警備さんは私を引き上げ、池中さんは私の足を支えてくれ──。
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