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「池中さん! 上、見ないでください!」
視界に入った池中さんに怒鳴っていた、だって、私、スカートなのに! 下から見たら丸見えなのに!
私が怒るのに、池中さんは涼しい顔だ。
「ごめん、ごめん」
すんごく軽い謝罪、こいつぅ、確実に見たな!
それから池中さんはカゴの床に落ちている靴や書類を渡してくれる、それらを受け取り、私が3階の床に立った時にやっと梯子がやってきた。池中さんがそれを使って上がって来る。
「もうプレゼンって気分じゃないなあ」
そんなことを言って首筋を撫でた、確かに非常灯しかついていない廊下を見ても、仕事という気分にはなれない。
「八代さん」
耳元で呼ばれた、思わず、ひゃ、と声が漏れる。
「今度、レンに紹介するね」
溜息混じりに言われて、私は慌てて一歩下がった。
「しょ、紹介って、なんて!?」
池中さんは余裕たっぷりに微笑むだけで返事にして、早くプレゼンルームへ行こうと歩き出した。
その後を私は慌てて追いかける、まだ電気は戻らない、エレベーターは使えないので階段で上がるんだけど──そこも人がいなくて、プレゼンルームも……池中さん? 池中さん! 池中さぁぁぁん!
終
#2→#3
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