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「僕は横浜の出身だよ。まあ偉そうに出身と言うほど長く住んでないけど」
「生まれただけ、とかですか?」
「いや、中学からこっちに」
「じゃあ、十分ですよ。出身でいいんじゃないんですか?」
芸能人なんか生まれただけでも言ってるもんね。
「あの……失礼じゃなかったら聞いてもいいですか?」
「なあに?」
うわあ、低音の心地いい声。優しい声に人柄が出ている。
「瞳の色、緑ですよね。先輩はハーフなんですか?」
岩崎先輩はふっと微笑んだ、吸い込まれる笑みだ。
「ハーフじゃないし、全然外国人の血筋は無いはずなんだけど」
岩崎先輩は私から目を反らして、遠くを見るような仕草をした、そうすると余計に緑色がはっきりと判った。まるでとても濃いエメラルドだ。
「父が青い目をしていたから、その遺伝だとは思うよ。兄弟もいろんな色でね、瞳の色や髪の色は多国籍で面白いよ」
「そうなんですね」
思わぬところで彼の情報を仕入れた。
「ご兄弟がいるんですか」
「弟が二人と、妹が一人ね」
「わあ、四人兄弟ですか、多いですね」
でも聞いてばっかじゃ悪いな。
「そっか、岩崎先輩はご長男なんですね。私は末っ子です、姉と兄がいるんです」
それはそれは優秀な姉兄が。
「末っ子か」
先輩は嬉しそうに笑った。
「末っ子は可愛いよね、うちも一番下が妹だから、ついみんなで甘やかしちゃって」
「うふふ、お兄さんばっかじゃ、判る気がします」
しかもこんなイケメンのお兄ちゃんなんて、ああ、うちじゃ考えられない!
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