#21 すぐに破れた恋(新米教師)※金銀スピンオフ

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「あの、えっと鳴海先生と親しいんですね」 なんとか話題を探した。 「ムカつくだけです」 こちらも見ずの答えに、なぜムカつくのとか、そういうのも話したくないのだとわかった。 一足式の校内に入り、私は内部構造も判らないまままっすぐ行こうとすると、 「3階です」 言って彼は踵を返すように体を反転させる、昇降口のすぐ脇に階段があった、そこを上がっていく。 迷路だとは言わないけれど、不慣れな道に戸惑いつつも彼の一歩後ろを歩きついて行く。 突き当りは事務室と書かれた部屋だった、そこを右に曲がると職員室、さらに右に折れ最初に目についたのは会議室と、その向かいに校長室はあった。 岩﨑さんが校長室のドアをノックする、はいという返事を待ってから岩崎さんはドアを開けた。 「ああ、岩﨑くん」 中には男性が3人、奥でこちらに向かっている椅子に座っているのは校長先生だろう。 そしてその前に立っているふたりの男性の内、若い方は私たちの同じ新任の「中野先生」だと分かった。そして立っているもうひとりが笑顔で私たちを迎い入れてくれる。 「よく来てくれました」 「お声をかけてくださりありがとうございます」 先ほどの鳴海先生とは180度違う態度と声音で、深々と頭を垂れて挨拶をした。 「こちらこそ引き受けてくださり感謝します。羽村さんも、ようこそお越しくださいました。教頭の飯島といいます」 やんわりとした物腰に、私も深く頭を下げる。 「羽村榮子です、よろしくお願いします!」 言うと校長先生は立ち上がり挨拶をしてくれた、そして新任3人も自己紹介をする。 「社会、高校では特に地理を受け持つ、中野弘毅(なかの・こうき)です!」 「音楽科担当の羽村榮子です」 「──英語の、岩崎真歩(いわさき・まなぶ)です」 皆新卒での採用だと校長から補足があった、そして職員室に移動する。そこには教員が揃っているようだった。先ほどの鳴海先生の話のように、4月1日から出勤なんだ。
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