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「楽器類は使い勝手が悪かったら場所を変えてもいいけれど、子供たちもそれで慣れているからこのままかなあ。CDとかは準備室にあるわ、あ、ラジカセの使い方は分かるかしら、今の若い子は使わないものねえ」
そんなことを言ってプラグのさし方から教えてくれた、それはさすがに……。
「私は合唱部の顧問も務めていたわ、できればお願いしたいけど、もしやりたい部活があるなら全然構わないのよ、空いていらっしゃる先生方にお願いしてもいいし。いずれ飯島先生からお話があると思うから考えておいてね」
「はい」
そっか、部活か、そんなこと考えてなかった。岩﨑さんはテニス部とか言ってたな、できれば一緒がいいなあ、なんて。
その時開いた窓から嬉しそうな悲鳴と、岩﨑先輩という声が聞こえてきた。
「まあまあ、変わらず、人気のある子ねえ」
山本先生がニコニコと人の好さそうな笑みで言った。
「岩崎先生ですか?」
「ええ、あの見た目だけでも目立つのに、勉強もできるしテニスも上手だから、本当に人目を引くのね。そうそう、バレンタインデーになると彼は公休になっていたわ。周辺の学校からも女生徒が集まってしまうのよ、そうなるとうちも周辺の学校にも迷惑だし、ご近所にもね」
うわー、人気ありすぎでしょ~。
「校内でも先輩後輩に関係なく彼の姿を一目見ようって子は多かったわぁ。星林は初等部、実際には幼稚園もやってはいるけれど、教育という点においては初等部からの一貫教育を行っているから上下との交流も多いのよ。文化祭は共同開催とかね。今高等部にいる子も初等部か中等部かで彼には逢っているから、もう多感な頃だものね、きっと白馬に乗った王子様よね」
わかります、まさに王子だわ~。
「そんなことを知ってか知らずか、彼は一途にひとりの女性を愛していたけれど」
「え、そうなんですか?」
そういえば、上山って……。
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