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「……いませんけど……」
2年ほど前に別れた恋人はいた、以来出会いはなく、独り身だ。
「だよな」
明宏が呟き、侑斗の父もうんうんと頷いた、既に調査済みである。
「まあ、ほぼ決まりだな、俺たちは賛成だ、あとは当人同士で話し合ってくれ」
そう言って膝を叩いたのは鴨居の当主だ、鈴の母の兄に当たる。その言葉がきっかけだ、皆ぞろぞろと立ち上がる、侑斗の家族さえ。
「鈴ちゃん」
夏菜子が声をかけた。
「明次さんがいなくなっても、鈴ちゃんと姉妹になれるなんて嬉しいわ」
私もです、そんな気持ちを込めて鈴もにこりと微笑む。
「夏菜子!」
侑斗はこの世の終わりだとも言いたげに呼ぶが、夏菜子はふふふと笑うだけでいなくなってしまう。
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