192人が本棚に入れています
本棚に追加
「家がどうとかじゃなくてさ。私、本当にさ、侑斗さんならいいよ」
鈴は静かに言った、そんな鈴に侑斗も冷静さを取り戻す。自分が子供じみて嫌がっていたことを思い知らされる。
「とりあえず親の顔、立てて結婚してもいいよ。本当に嫌なら別れちゃえばいいじゃん。別に人生はどこからでもやり直しは効くし」
「冷めてるなあ」
「達観してるって言って」
鈴は唇を尖らせ訴える。
「まあさ。私はこれでも本家の娘だからある程度覚悟はあったけど、確かに侑斗さんは完全に蚊帳の外だったもんね、戸惑うよね」
侑斗はうんうん、と頷く。
「だからさ。跡を継ぐとか考えるのは後回しにして、とりあえず恋から始めてみない?」
「恋から?」
「うん、恋人になるとこから始めてみるの」
「恋人ねえ」
確かに、いきなり結婚からよりは、ハードルは低いように感じた。
「結婚の時期とかはすぐじゃなくてもいいでしょ? おいおいでもさ。私も夏菜子さんみたく大学くらいは行きたいし」
最初のコメントを投稿しよう!