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(2)警察が絡む
席に戻りしばらくするとまた電話が入った。今度は警察からだ。急いで外に出た。慌ただしい夜だ。
『ファイか?今ジャズクラブにいるだろ』
警察に習慣を知られているのも困りものだ。
『ピアニストを見張ってくれ、俺たちは今から行く』
「ピアニストはいない。今夜はギタートリオだ」
『いやいる。ピアニストだ。20分で着く』嵐山警部は電話を切った。
仕方ない。マスターに聞くか。
そっとカウンターに行ってマスターに声をかけた。
「今日ピアニストは来てるの?」
マスターはステージを指差した。
ギタリストのMCが入った「今夜のゲストです。皆様ご存知のピアニスト、ケリー丸山!」
拍手が起こった。ライブハウスでよく演ってるピアニストだ。
ケリーが座ると同時に演奏が始まった。アップテンポのビ・バップ調だ。
ここはオーナーの好みで50〜60年代風のジャズをよく演る。そこが気に入ってるから毎週聴きにきてるわけだが。
ピアニストはチラチラと会場を気にしている。
テーマが終わりピアノソロが始まった。
彼は何かしでかしたのだろうか、それともこれからしでかすのか? 麻薬にでも手を出しているのか?
俺は頭の中でぼやいた。
秘書の芽衣はとっくに帰ってるしなぁ。面倒なことになったもんだ。
しかしどちらの件も動き出している。今更逃げるわけにはいかない。
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