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新しい謎
さて、ここからどうするかだ。
死という謎に飛び込んだはいいが肉体は無い、だが意識はある。
何も見えない。
暗いのか明るいのかも分からない。
色の無い世界だ。
全知をもってしても、
この世界のことはどうやら分からないようだ。
「面白い」
新しい謎を見つけた。
なんの手がかりもないこの謎の世界。
素晴らしい!興奮してきたぞ!
ーープツッーー
「、、、ん?」
目を覚ます。
理解は早かった。
「別の世界か、、、」
小さな個室で目覚めた。
どうやらエレベーターのようだ。
ボタンは1つしかない。
押すと動き出した。
上へ向かっているのか、
下へ向かっているのか全く分からない。
扉が開く。
誰かいる。
近づくと、、
「お待ちしておりました、フロスト様」
コンシェルジュが言った。
「〇〇様がお待ちです、ご案内いたします。」
連れられた先には扉。
そっと開けた。
どうやら高層ビル?のワンフロアのようだ。
モダンでミニマル。
非常に私好みだ。
奥の椅子に誰かが座っている。
外の摩天楼を眺めているようだ。
ゆっくり近づいていった。
すると、
こちらを振り向き、、、
「やぁ、フロスト君、待っていたよ」
「ここは一体どこだ、、、?」
照明で顔が見えない。
「ここはどこでも無い」
「そうか、、じゃあ貴方は誰でもないって事か?」
「私は君さ」
こちらに近づき、
照明の光が顔をを照らした。
確かに私だ。喉を切り裂く前の。
「何が目的だ?」
「何も、、、ただ君と話したかっただけさ」
「友達がいないのか、、?」
「あぁ、誰1人としてね」
「私もだ」
「分かっているさ、だって君は私なんだから」
「この会話、意味はあるのか?」
「全くもって意味の無い会話さ」
「つまり現在、無駄な時間を過ごしているんだな?」
「あぁ、そうさ。究極に無駄な時間を今君と共有している。」
・・・・・・。
数分、または数時間の沈黙。
いや、この世界には時間という概念など存在しなかった。
気がつけば彼はいなくなり私だけになっていた。
彼が座っていた椅子に腰掛け外の世界を眺める。
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