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タッタッタッ やばい、このままでは遅れてしまう。 タッタッタッ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「おっそいわね、もっと早く来なさいよ」 そういうと母は俺のお腹を蹴りあげた。 真っ白な肌に真っ赤なリップを塗った唇。お人形のように美しい顔が怒りに歪む姿はとても怖いのだと思う。そのため俺の心臓の音が早くなっているのを感じる。いや、もしかするとまた殴られるかもしれない恐怖なのかもしれない。 俺がこの人から教わったことは恐怖と痛みと人の殺し方ぐらいだ。 「すみません、これからは気をつけます。」 「ふんっ、次も遅かったらあんたの腕を折るから」 「はい、肝に銘じておきます。」 思ってもいない言葉をつらつらと並べる。 「今日は高鶴 李城(タカツルリジョウ)暗殺の依頼よ。高鶴は武道で有名な人物よ。沢山の試合で優勝しているわ。あんたが死のうがどうでもいいけど証拠だけは残さないでよね。」 「はい、承知しました。それで入ってまいります。」 そう言い俺は急いで目的地へと向かった。 高鶴李城の家はとても大きかった。 武道に長けているということはすごくムキムキなのだろうか。もしかしたら頭にはちょんまげが乗っているのかも、そんなことを考えながら高鶴の寝室へ向かった。バレないように扉を開け眠っている高鶴の顔を覗き込んだ。ゴリラのようなムキムキさではなくとても綺麗に筋肉が着いていた。顔も俳優であると言われても疑わないほど整っていた。 こんな顔に産まれたかったな。そうしたら皆に好かれていたかも。そんなことを考えながらポケットからナイフを取りだし首に近ずけた瞬間いきなり布団から手が出てきて俺の腕を掴んだ。 「お前は誰だ。」 低く地を張るような声はとても父に似ていて敵の前であるのに俺は体が震え立っていることもままならずしゃがみこんでしまった。 「ヒューッヒューッ」 敵に気づかれてしまったせいなのかそれとも父を思い出した恐怖からなのか俺は過呼吸に陥った。
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