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⑪
「おっおいっ!大丈夫か!?」
そう言い高鶴は俺の体を抱き上げ膝の上に乗せた。落ち着かせようとしてくれているのか背中をさすってくれている。でも俺の恐怖は収まらない。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」
「なぜ謝っている、大丈夫か!?」
そう言い俺を抱きしめ背中をさする
「俺悪いことしないから…いい子になるから殴らないで…」
「大丈夫か!?おいっ…」
そんな声が聞こえた気がしたが俺の意識は暗闇の中へ落ちていった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
朝、いつも通り目が覚めると俺は動けないでいた。
それは高鶴の腕の中にいたからだ。
暗殺に失敗するなんて初めてだ、母様に殺されてしまう。どうしよう。とりあえずこの腕の中からでなければと思い俺は起こさないように慎重に高鶴腕の中から脱出することに成功した。
俺はまじまじと高鶴の顔をみた。なんか見た事ある気がする。じーっと見ていると高鶴が寝返りをうった。
あっ、見すぎてしまった。俺は小声で
「ごめんなさい、俺だって本当はしたくないんだ。また会えたら昨日みたいに抱きしめてもらいたいな、なんてね」と大きな背中に向けてそんな冗談を言いこの場を去った。
その時高鶴が起きているとも知らずに…
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