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第1話 ミストレス―冷たい牢獄―
都心に聳える、タワーマンションの最上階。
壁一面を占める窓の外には街の灯りが燦めき、中でも朱く光る東京タワーが一際目立つ。多くの人が羨み、感嘆する夜景が、この部屋の価値を高めていることは、間違いなかった。
しかしこの部屋の住人である男は、夜景など物ともせず、シャツを一枚羽織っただけの姿で、窓に背を向けて足を広げ、寝室の大部分を占める大きめのベッドに腰掛けていた。
ズボンも下着も着けていない足の間には、長い髪の全裸の女性が跪いている。女性は、男の物を口に含んで、舌と唇を駆使している。
奉仕の最中であった。
薄暗い室内に、女性の荒い息づかいと、奉仕する水音が響く。
「うっ、出すぞ、全部飲めよ」
男の口から発せられた言葉には、情熱の片鱗も無ければ、愛情の欠片も無い。ただただ、冷徹な命令であった。
女性はその命令通り、口を窄めて零さないように注意すると、口腔内に吐き出された苦みを、一気に飲み込んだ。
ごくんと、女性が飲み干す様子を見た男は、満足げに口の端を上げる。
「よくやった、褒美をやろう」
言い終わるか終わらないかのうちに、男は女性の腕を掴むと、ベッドの上に引き上げる。そうして仰向けに寝かせた女性に、のし掛かった。
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