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男の手が頬を撫で、男の舌が耳を舐める。
男の手が頬から首へ、首から鎖骨へと下りる。
鎖骨へと下りた手が、双丘を撫でる。じわじわと焦らすように、ゆっくり、弱く。頂きに触れるのを避けるように、男の手が動く。
男の舌が、耳の裏側から表へ、表から中へと執拗な愛撫を繰り返し、耳たぶを軽く甘噛みされる。
「あっ、」
思わず漏れた嬌声に、女性は慌てて両手で口を塞いだ。
「なんだ、もう感じたのか。歌澄」
男に耳元で名を呼ばれる。
「そ、それは社長が……」
思わず反論すると、男の手が双丘の頂を強く摘まむ。
「ん、何と言った。呼び方に気を付けろと言っているだろう」
「も、申し訳ありません。京也さん」
女性は慌てて、男の名を口にした。
男の名は、千川京也。
ここ数年で急成長したITベンチャー企業、株式会社ケルスの創業者であり、代表取締役社長である。
ケルスは、革新的なアイデアとそれを形にする確かな技術力で、あっという間に世間の話題を浚った。
商品は、企業向けのシステムが中心だが、それを応用した個人向けのSNSやアプリ開発なども手掛けており、一般の知名度も高い。
創業者であり、社長である千川にも、当然世間の目は集まり、整った容姿も相まって、その一挙手一投足が注目されている。
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