(1)流れ星の気持ち

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(1)流れ星の気持ち

夜空の流星群を見上げていた女の子がお父さんに聞いた。 「流れ星に願いを唱えると叶うって本当?」 「ああ、本当だよ」 「じゃぁ、流れ星が何か願ったら誰が叶えるの?」 父親は答えられなかった。 しかし、流れ星の願いははっきりしていた。 「熱い!」「熱い!」「熱い!」「熱い!」「熱い!」 「溶けていく!」「溶けていく!」「溶けていく!」「溶けていく!」「溶けていく!」 「助けてくれ!」「助けてくれ!」「助けてくれ!」「助けてくれ!」「助けてくれ!」 要するにそういうことだ。 大気との摩擦で高熱を発し溶けて蒸発していく。 小さな流れ星は大気中で消滅し、大きなものは隕石として地表に落下する。 その間の自分たちは灼熱の地獄なのだ。 流れ星は、一つ、二つ、三つと次々に消滅していく。 「あぁっ!」「うわぁ!」「ぎゃあっ!」 阿鼻叫喚の地獄だ。 流れ星の殆どが地上に届くまでに消滅する。つまり死ぬのだ。
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