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♯5 2980円で買った新型ママメロン
『お前が小さい頃、欲しがっていたママだ』
「マ、ママァァーー!!」
『おォォ〜、どうだ。歓べ!!
思った以上に安かったからな!!
取り敢えず、ゲットしといたぞ!!』
「ゲットッてェ……。ポケットファントムかよ」
ゲームじゃないんだから……。
『蒼太が昔、泣いて欲しがっただろォ……』
「バカか。それッて、いつの話しだよ……」
確かに、僕の実の母親は小学校2年の時に亡くなり、オヤジにママを欲しがった事もあったが。
『ママひとり2980円だぞ!!』
「や、安ゥ……!!
2980円ッてなんだよ。その安さは!!
絶対に不良品だろ!!
ッて言うか。普通、ママなんて売ってるのか!!」
『ケッケケェ……!!
写真を見た感じじゃ可愛らしいぞ』
「だからァ……、どこで売ってるんだよ!!
ママなんて!!」
『異世界オークションとか、言うトコロだ。
限定品だぞ!!』
「なんだ。その怪しげなオークションは!!
絶対に、ボッタクリの詐欺サイトだろう!!」
『ま、明日の夜に届くから嬉しみに待っていろ!! じゃァ、ハッピーバースデー!!』
そう言うと勝手に電話を切ってしまった。
「おいおい!! オヤジィィ……!!
もしもし、もしもしィィーー……」
何度も呼びかけるが、すでに切れてしまったのか、応答はない。
そうだ。あの時から悪い予感があった。
オヤジのバースデープレゼント。
それが2980円で買ってきた新型ママ メロンだ。
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